2018-03-05_1042


新書とは、出版物の形式の一つ、B6判より少し小型で、余りかたくるしくない書き方をした教養ものや小説などを収めた叢書(そうしょ)。じゃー叢書とはシリーズ本のことらしい。 普通ビジネス書が多いと思われるが、ビジネス書は、ほとんど読んだ試しがない。(^-^) そんなわけで、新書のビートルズ本などを読んでいるわけです。 まずはこれ平凡社新書「ビートルズは音楽を超える」

と、以前どこかで、この本の感想を書いたわけです。

ビートルズを知ることなくして20世紀の文化を語ることはできないし、ビートルズを語るためには、音楽に知識だけでは不十分で、イギリスの歴史と文化と芸術に対する深い理解が必要である。と本の帯に書いてありまして書いたのは慶大の教授、著者の武藤氏です。というわけで、イギリス文化を知らない僕はビートルズを語ることができないわけです。

そんなわけで、この本を買って読んでみました。ところがこれがなかなかな本なのです。どこが面白いかと言うと、やはりビートルズはコミックバンドだった!というところなのです(^-^)

確かに、イギリスで頂点を極めアメリカに進出した時のビートルズのインタビューは、まさにコメディアン的な受け答えをしているし4人が当意即妙に会話をつなげている様は「お笑い」のセンスがあるなーと思っていたわけだけど、これは戦後のイギリスで人気をはくしたBBCラジオのお笑い番組「グーン・ショー」のエッセンスを彼ら流に言葉にしていたわけだったのです。

ジョン・レノンの書簡集「ジョン・レノン レターズ」によると、ジョン・レノンは、後日にアメリカで出版されたスパイク・ミリガンが書いた「グーン・ショーの台本集」の書評をニューヨークタイムズに提供しているくらい、「お笑い=グーン・ショー」が大好きだったよーなのです。そういえば、ジョンに、ヨーコがグーン・ショーの大量のカセットテープをプレゼントしてたっけ。

ただここでのお笑いは、タブーの存在しないナンセンス、かつラディカルで、ジョン曰く社会の階級を超えて現実を打ち負かそうとしたお笑いのことです。

そしてジョンだけでなくビートルズは全員が「グーン・ショー」の影響下にあったようです。例えば、ジョンレノンの上流階級の人が集まったコンサートでの有名なコメント「安い席の人は手を叩いて。。。それ以外の人は宝石をジャラジャラさせてね」は、彼らにとっては、ごく日常の言葉遊びだったようです。

そして彼らは、モンティパイソン、ボンゾドッグドゥーダーバンドなどのお笑いネットーワークを作り出し、ラットルズというセルフ・パロディにも積極的に協力したわけです。思った以上に深い本で、ビートルズへの見方も変わります。何より音楽・芸術への危険性の自覚も必要のようです。

こんな時期は、新書を読むのもいいですね。